書評:『科学的な適職』は最高の意思決定本
鈴木祐さんの『科学的な適職』を読みました。
著者の鈴木祐さんは年間5000本もの科学論文を読んでいるサイエンスライターの方で
その豊富な知識に活かして仕事の効率をアップし1日に2~4万文字もの原稿
を量産するという超人のような方です。
また、運営している「パレオな男」というブログも人気を博しており、
あのDaigoさんも尊敬する人として名前をあげているという方。
読もうとした動機
実は僕、昨年夏から転職活動を始めて12月から新しい職場で働いています。
本音では転職する前に発売してほしかったなと思いつつも、
自分の転職活動がどうだったのかを客観的に振り返るために読むことにしました。
なので今回は『科学的な適職』を踏まえて自分の転職についても振り返ってみたいと思います。
総評
本書は一言でいうと『意思決定手法の解説本』だと感じました。
転職本でありがちな自己分析や、特定の職業 / 業界の紹介といった内容が一切なく、
『適職』=『幸福が最大化される仕事』という定義のもと、
幸福を最大化させるための職業選びという一見ふわっとした問題に対して
どのように意思決定していけば良いのかを解説してくれています。
職業選びという局面だけでなく日常の様々な意思決定に活かせるノウハウが詰まった1冊です。
具体的に参考になった箇所について触れていきます。
参考になったところ
正しい職業選択のための5ステップ「AWAKE」
「科学的な適職」では『AWAKE』と呼ばれる5ステップで適職を選んで行きます
- 幻想から目覚める(Access the truth)
「好きを仕事にしよう!」などのよく聞くキャリアアドバイスの審議を検討し、
職業選択で陥りがちな幻想から目を覚ましていくステップ - 未来を広げる(Widen your future) キャリア選択を誤らせる”最大の原因”を特定し、 仕事選びに関する視野を広げるステップ
- 悪を取り除く(Avoid evil) 「人間を不幸に追いやる職場の条件とは?」という問題を考え、 数ある人生の選択肢の中から最適なものを選ぶためのツールを学ぶステップ
- 歪みに気づく(Keep human bias out) 人間の脳に巣食う「バグ(バイアス)」を探し出し、 取り除く方法を学ぶステップ
- やりがいを再構築する(Engage in your work) 仕事の満足度をチェックする方法や仕事にやりがいを持つ方法を学び、 日々の幸福度を高めるためのステップ
この各項目の頭文字をつなげて『AWAKE』と呼んでいます。
意思決定ツール「マトリックス分析」
デザインエンジニアのスコット・ビューが開発した技法で客観的な判断力を上げる効果が高く
米軍の意思決定などにも使われているとのことです。
転職でありがちな、複数の候補から「どれが良いか?」を絞りたい時に有効な手法です。
具体的には次の5ステップを実行して表をまとめていきます
- 基準のリストアップ
幸福に繋がりやすい要素と幸福を破壊する要素を基準列にリストアップ - 候補のリストアップ
望む仕事の候補をすべて書き込んでいきます。 - 重要度の記入
それぞれのマスに5点満点で重要度を記入していきます。
「とても良い」なら5点を、「とても悪い」なら0点をつけます。 - 重みの決定
それぞれの基準ごとの「重み」を3点満点で設定します。 これは大事なら3点、まぁまぁ大事なら2点、普通なら1点をつけます。 - 最終判断
重要度と重みを掛け算、すべての点数を出して各候補ごとの合計点を出します。
この「マトリックス分析」を実際に自分に当てはめて実行してみた表が下記です。
この結果からすると自分は転職するよりも前職に留まっていたほうが幸福度は高いとなりますねw
結果は残念ですが、この分析を行うことで自分が仕事において何を大事にしているのかという価値観が客観的に見れるのが良いなと感じました。
まとめ
『科学的な転職』いかがでしょうか。
よくある転職本とは違い、仕事を通じた幸福度の高め方や
複雑な問題を精度高く意思決定していく方法など
転職だけに限らないノウハウが詰まった良書だと感じました。
転職を考えていない人にもおすすめの一冊です。